
皆さんこんにちは!FP櫻事務所です。
ところで
相続の相談です。
父が亡くなりました。
相続人は母と私(長男)、弟(次男)です。
相続財産は、預貯金と自宅があります。
借金もあるようです。
相続手続きはいつまでに何をすれば良いのでしょうか?
とお困りの方に
人が亡くなると相続手続きが開始します。
相続税が発生する場合、相続人は通常相続人の死亡日から10か月以内に故人の死亡時の住所地の税務署に相続税の申告と納付(原則現金一括)を行わなければなりません。
相続税申告と納付までの10ヶ月の間に、相続人は、遺言書の有無の確認や、相続財産の把握、遺言書がない場合は遺産分割協議などを行う必要があります。
また相続放棄を検討している場合は、3ヶ月以内に結論を出す必要があります。
この記事では、相続手続きの流れや期限、必要書類や費用を解説します。
相続手続きの流れや期限を知ることで、自分がどの期限までに何をすれば良いか、必要書類は何かなどの優先順位をつけることができ、10ヶ月という短い期間でも時間を有効に使うことができます。
是非参考になさってください。
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相続手続きの流れや期限は?優先順位は?必要書類と費用も解説
3ヶ月以内に行うこと
➀遺言書の有無の確認
相続の手続きで、まず始めに相続人が行うことは、遺言書の有無の確認です。
故人の遺産は、遺言書があれば基本的にその内容通りに分けられるからです。
一般に利用される遺言書は、自筆証書遺言と公正証書遺言です。
自筆証書遺言は、自宅や銀行や信用金庫に保管されている可能性があります。
自筆証書遺言を発見した人は、開封せず、家庭裁判所で検認を受けます。
検認手続きの必要書類は、申立書や戸籍謄本等です。
費用は遺言書1通につき収入印紙代800円、連絡用の郵便切手代です。
公正証書遺言は、最寄りの公証役場の遺言検索システムを利用して、遺言書の有無を確認します。
遺言検索システム利用の際の必要書類は、亡くなった人の死亡を証明する書類や、戸籍謄本、手続きをする人の本人確認書類です。
費用は無料です。
参照URL:遺言書の有無の確認とは?遺言の種類で異なる手続きと必要書類
➁相続人を確定
故人の相続人を確定するため、故人の出生時から死亡時までの戸籍謄本を取得します。
相続手続きでは、相続人全員の署名や合意が必要な場合や、登記や名義書き換えの際に、故人の相続人が確定していることを証明する書面の提出を求められることがあります。
相続人はまず、故人の最後の住所地を管轄する市役所で死亡時の戸籍謄本(戸籍事項全部証明書)を取得します。 死亡時の戸籍事項欄を確認して従前の戸籍を遡り、出生時までの戸籍謄本を取得していきます。
戸籍取得のための必要書類は、申請書、届出人の本人確認書類、定額小為替などの手数料(郵送請求の場合)、委任状です。
費用は、戸籍謄本・戸籍全部事項証明書1通につき1通450円です。
参照URL:相続人を確定する戸籍謄本の取得方法は?必要書類や費用も解説
➂相続財産を把握する
故人の相続財産を把握します。 相続財産には、預貯金や不動産などのプラスの財産の他、借金やローンなどのマイナスの財産も含まれます。
預貯金は金融機関の通帳で死亡時の金額を確認します。
自宅等の不動産は、家屋は固定資産税評価額がそのまま相続税評価額となります。
土地は国税庁の路線価を調べ、1㎡あたりの価格に面積を掛けると算出することができます。
(不動産の評価は難しいことが多く、専門家(不動産鑑定士など)に鑑定して貰うことをお勧めします。)
住宅ローンは通帳などで確認します。
税金の滞納や、クレジットカードの借入れ、未払いの医療費などは、郵便物やメールなどで確認します。
➃相続放棄・限定承認の手続き
故人の相続財産の合計額がマイナスになる場合、相続放棄を検討します。
相続放棄とは、相続人が預貯金などのプラスの財産も、借金などのマイナスの財産も一切受け継がない相続の方法です。
相続人は、自己のために相続があった事を知った時から3ヶ月以内に、家庭裁判所に相続放棄の手続きをします。
相続放棄のための必要書類は、申述書、戸籍謄本等です。
費用は収入印紙代800円、連絡用の郵便切手代です。
参照URL:相続放棄の手続きとは?申請期限は?必要書類・費用も解説
限定承認とは、故人の相続財産(不動産や預貯金)から故人の負債(借金など)を支払う相続の方法です。
相続人にまだ知られていない、故人の借金などの負債がある場合に有効な方法です。
相続人は、相続人が複数であれば相続人全員で、自己のために相続があった事を知った時から3ヶ月以内に、家庭裁判所に限定承認の手続きをします。
家庭裁判所で限定承認が認められれば、相続財産の精算手続きを行います。(※限定承認は大変複雑な手続きです)
限定承認のための必要書類は、申述書、戸籍謄本等です。
費用は収入印紙代800円、連絡用の郵便切手代です。
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10ヶ月以内に行うこと
➄遺産分割協議
故人の財産は、遺言書があればその内容に従います。
遺言書がない場合、故人の財産は、相続人全員が協議し合意した上で分け方を決めます。
相続人全員が協議の結果に合意した場合は、遺産分割協議書を作成します。
遺産分割協議書は、各相続人分作成し、相続人全員の署名と実印の捺印を行い、相続人全員分の印鑑証明書を添付したものを各相続人が1通ずつ保管します。
相続人全員が合意しない場合、裁判所で調停の手続きを検討します。
遺産分割協議は期限はありません。
しかし遺産分割協議が終了せずに期限内に相続税の申告ができなかった場合は、土地の評価額を減額する特例などの税制上の優遇措置が利用できないので注意が必要です。
➅相続財産の登記・名義変更
相続人は、遺言書又は遺産分割協議書にもとづいて、不動産の相続登記、預貯金などの名義変更を行います。
不動産の相続登記は、不動産の所在地を管轄する法務局で行います。
不動産登記のための必要書類は、登記申請書、戸籍謄本、住民票の写し、印鑑証明書、遺言書又は遺産分割協議書です。
費用は不動産の価格×0.4%です。
預貯金の名義書換えは各金融機関などで行います。
預貯金の名義書き換えのための必要書類は、各金融機関によりますが、一般に戸籍謄本、本人確認書類通帳、遺言書又は遺産分割協議書と相続人全員の印鑑証明書等です。
➆相続税の申告と納付
相続人の死亡日から10か月以内に、故人から相続または遺贈で財産を貰った人は、故人の死亡時の住所地の税務署に対して相続税の申告と納付を行います。
※遺産総額が相続税の基礎控除額を超えない場合は、申告と納付の手続きをする必要はありません。
基礎控除額 = 3,000万円+(法定相続人の数×600万円)
相続税の申告のための必要書類は、相続税の申告書、遺言書又は遺産分割協議書、戸籍謄本、印鑑証明書等です。
相続税納付のための必要書類は、相続税の納付書です。
※画像をクリックするとPDF(175KB)が開きます。
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まとめ
●人が亡くなると相続手続きが開始します。
相続税が発生する場合、相続人は相続の開始の翌日から10か月以内に、故人の死亡時の住所地の税務署に対して相続税の申告と納付(原則現金一括)を行わなければなりません。
●相続税申告と納付までの10ヶ月の間に、相続人は、遺言書の有無の確認や、相続財産の把握、遺言書がない場合は遺産分割協議などを行う必要があります。
○3ヶ月以内に行う相続手続き
①遺言書の有無の確認
②相続人の確定
➂相続財産の評価
④相続放棄・限定承認の手続き(相続しない場合)
○10ヶ月以内に行う相続手続き
⑤遺産分割協議(遺言書が存在しない場合)
⑥相続財産の登記・名義変更
⑦相続税の申告と納付
●相続手続きの流れや期限を知ることで、自分がどの期限までに何をすれば良いか等の優先順位をつけることができ、 10ヶ月という短い期間でも時間を有効に使うことができます。
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