遺言書の有無の確認する方法は?遺言の種類で異なる手続きと必要書類

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皆さんこんにちは!櫻FP事務所です。

ところで

相続の相談です。

叔父が亡くなりました。遺言書を遺していたようです。
遺言書の有無を確認する方法を教えてください。

とお困りの方に

相続の手続きでまず始めに相続人が行うことは、遺言書の有無の確認です。
遺言書があれば、故人の遺産は基本的にその内容通りに分けられるからです。

遺言書が無い場合は、相続人全員の合意(遺産分割協議)がないと遺産を分けることができません。
さらに合意できない場合は調停や審判で分け方を決めますが、これには時間がかかります。

遺言書があれば、遺言書の内容通りに遺産を分けることができるので、相続手続が長期化する可能性は低くなります。

一般に多く利用される遺言書として、「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類があります。
遺言書の種類によって、確認の手続きや必要書類が異なります。

この記事では、遺言書の種類で異なる確認の手続きや必要書類などについてお伝えします。

是非参考になさって下さい。

(2022年2月15日公開~2022年9月1日編集)

遺言書の有無の確認する方法は?遺言の種類で異なる手続きと必要書類

何故、遺言書の有無を確認するのでしょうか?

人が亡くなると相続手続きが開始します。
相続の手続きで、まず始めに相続人が行うことは、遺言書の有無の確認です。

故人の遺産の分け方には2つのルールがあります。

遺言書がある場合、故人の遺産は※基本的にその内容通りに分けられます

遺言書がない場合は、故人の遺産は相続人全員が話し合い、全員が納得した上で分ける(遺産分割協議)ことになります。
全員が納得できない場合は、調停や裁判で遺産を分けることになりますが、これには時間がかかります。

相続税がかかる場合は、10ヶ月以内に申告と納付を済ませなければなりません。
この期限内に相続人が合意出来ない場合は、相続財産評価の減額などの特例が使えなくなる場合がありますので注意が必要です。

遺言書があれば、遺言書の内容通りに遺産を分けることができるので、相続手続が長期化する可能性は低くなります。

なお、遺言書が何通か見つかった場合は、日付の新しいものが有効となります。
例えば、公正証書遺言の作成日が2022年4月11日で、有効な自筆証書遺言の作成日が2022年8月22日である場合、自筆証書遺言が遺言書として採用されます。

遺言書の存在が知らされていなかった場合でも、遺言書がのこされている可能性があります。
念のため、確認されることをお勧めします。

遺留分に注意!遺言書があっても遺留分の権利は侵害できない

遺留分は、残された家族の生活を保障するため、民法が定めた相続人が最低限相続できる財産のことです。
たとえ遺言書がある場合でも、遺留分の権利を侵害することはできません。

遺留分が認められているのは、兄弟姉妹を除く法定相続人です。

遺留分の最低保証額は、法定相続分の2分の1になります。

法定相続人が配偶者と子供3人の場合、配偶者が4分の1、子供はそれぞれ12分の1(4分の1×3分の1)になります。

遺留分は、遺言書があっても遺留分の権利は侵害することはできません。
※ただし遺留分はあくまでも権利になるため、その権利を行使するかどうかはその人次第になります。

自筆証書遺言

自筆証書遺言は、原則故人が生前に自筆で、全文、日付、氏名を記入し、捺印して作成する遺言書です。

自筆証書遺言の有無を確認する方法

自筆証書遺言の場合は、自宅であればタンスや引き出し、仏壇、金庫、本棚等に保管されている可能性があります。
他にも、故人が生前取引のあった銀行の貸金庫や、信託銀行に保管されていることもあります。

自宅などを探して見つからない場合は、念のため、故人が取引のあった銀行や信託銀行に連絡をとることをお勧めします。

自筆証書遺言を発見した相続人は、遺言書を開封せずに、故人の最後の住所地の家庭裁判所に対して、検認手続きの申し立てを行います。

検認する前に開封してしまうと、5万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
なお検認する前に、遺言書を偽造または変造もしくは破棄したり隠したりした場合は、相続人の資格を喪失しますので注意してください。

検認とは、遺言書の内容や状態を明確にして、その後の偽造や変造を防止するための手続です。
遺言書の内容が有効か無効かを判断する手続ではありません。

検認手続きに必要な書類は、申立書や戸籍謄本等です。
検認手続きに必要な費用は、遺言書1通につき収入印紙代800円と、裁判所と申立て人との連絡用の郵便切手代です。

検認が完了すると、申立人は家庭裁判所に検認済証明書の申請を行い、交付を受けます。
遺言書1通につき150円分の収入印紙と申立人の印鑑が必要です。

検認済証明書が添付された自筆証書遺言で、預貯金や不動産の名義書換え等の相続手続きをすることができます。

関連記事:自筆証書遺言の有無の確認方法は?検認の手続きと必要書類は

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法務局で保管された自筆証書遺言遺言

2020年7月10日から、法務局で自筆証書遺言を保管する制度が始まりました。

法務局で保管された自筆証書遺言は、検認する必要はありません。

法務局で保管された自筆証書遺言の有無を確認する方法

相続人は、最寄りの法務局(遺言書保管所)遺言書保管事実証明書の交付の請求(自筆証書遺言の有無の確認)を行います。

遺言書保管事実証明書の交付の請求に必要な書類は、交付請求書や戸籍謄本等です。
遺言書保管事実証明書の交付の請求に必要な費用は、遺言書1通につき収入印紙代800円です。

法務局保管の自筆証書遺言の相続手続き

法務局に自筆証書遺言が保管されていた場合は、遺言書情報証明書が交付されます。
遺言書情報証明書は正式な遺言書として、預貯金や不動産の名義変更などの相続手続きを行うことができます。

遺言書情報証明書の交付に必要な書類は、交付請求書、相続関係を証明する戸籍謄本、相続人全員の住民票、手続する人の本人確認書類です。
遺言書情報証明書の交付に必要な費用は、証明書1通につき収入印紙代1400円です。)

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関連記事:自筆証書遺言の有無の確認方法は?検認の手続きと必要書類は

公正証書遺言

公正証書遺言とは、故人が生前に、公証役場の公証人に対して遺言内容を口頭で伝え、公証人が遺言内容を文章にして遺言書とするものです。
遺言書の原本は当該公証役場が保管しています。

公正証書遺言は、検認する必要はありません。

公正証書遺言の有無を確認する方法

相続人は、最寄りの公証役場の遺言検索システムで公正証書遺言の有無と、遺言書のある公証役場などを確認することが出来ます。

ただし、遺言検索システムでは遺言書の内容は分かりません。
相続人は、公正証書遺言が存在する公証役場で公正証書遺言の謄本を取得することで、遺言書の内容を知ることができます。

遺言検索システムを利用するために必要な書類は、亡くなった人の死亡を証明する書類(死亡診断書のコピーまたは除籍謄本)、相続関係を証明する戸籍謄本、手続きをする人の本人確認書類です。

遺言検索システムを利用するために必要な費用は、無料です。

公正証書遺言が保管されている公証役場が確認できた場合は、相続人はその公証役場に赴くか郵送で、公正証書遺言の謄本を請求します。

公正証書遺言の謄本を取得するために必要な書類は、亡くなった人の死亡を証明する書類(死亡診断書のコピーまたは除籍謄本)、相続関係を証明する戸籍謄本、手続きをする人の本人確認書類です。

公正証書遺言の謄本を取得するために必要な費用は、謄本の用紙1枚ごとに250円です。

公正証書遺言の謄本で、預貯金や不動産の名義書換えなどの相続手続きをすることができます。

公正証書遺言を検索する方法
関連記事:公正証書遺言の有無の確認方法は?検索の手続きと必要書類は

まとめ

●遺言書の有無の確認

 相続の手続きでまず始めに相続人が行うことは、遺言書の有無の確認です。

 遺言書があれば、故人の遺産は基本的にその内容通りに分けられるからです。

 ただし遺言書が有っても、遺留分(民法で定めた相続人が最低限相続できる財産)を侵害することはできません

 ●自筆証書遺言

 自筆証書遺言は、原則故人が生前に自筆で、全文、日付、氏名を記入し、捺印して作成する遺言書です。

 自筆証書遺言の場合は、自宅であればタンスや引き出し、仏壇、金庫、本棚、銀行や信用金庫等に保管されている可能性があります。

 自筆証書遺言を発見した相続人は、遺言書を開封せず、故人の最後の住所地の家庭裁判所に対して、検認手続きの申し立てを行います。

 検認が完了すると、申立人は家庭裁判所に検認済証明書の交付を受けます。

 検認済証明書がついた自筆証書遺言で、預貯金や不動産の名義書換え等の相続手続きをすることができます。

    関連記事:自筆証書遺言の有無の確認方法は?検認の手続きと必要書類は

 ●法務局で保管された自筆証書遺言遺言

    法務局で保管された自筆証書遺言遺言は、検認手続きは不要です。

 相続人は、最寄りの法務局(遺言書保管所)で、遺言書保管事実証明書の交付の請求(自筆証書遺言の有無の確認)を行います。

 自筆証書遺言が保管されていた場合は、最寄りの法務局(遺言書保管所)で、遺言書情報証明書の交付を受けます。

「遺言書情報証明書」は正式な遺言書として、預貯金や不動産の名義変更などの相続手続きを行うことができます。

   関連記事:自筆証書遺言の有無の確認方法は?検認の手続きと必要書類は

 ●公正証書遺言

 公正証書遺言とは、故人が生前に、公証役場の公証人に対して遺言内容を口頭で伝え、公証人が遺言内容を文章にして遺言書とするものです。
 遺言書の原本は当該公証役場が保管しています。
 
    公正証書遺言は、検認手続きは不要です。

 相続人は、最寄りの公証役場の遺言検索システムで公正証書遺言の有無と、遺言書のある公証役場などを確認することが出来ます。

 公正証書遺言が保管されている公証役場が確認できた場合は、相続人はその公証役場に赴くか郵送で、公正証書遺言の謄本を取得します。

 公正証書遺言の謄本で、預貯金や不動産の名義書換えなどの相続手続きをすることができます。

 関連記事:公正証書遺言の有無の確認方法は?検索の手続きと必要書類は

遺言書があれば、遺産は基本的に遺言書の内容通りに分割され、遺産分割協議等の時間のかかる相続手続を行う必要がなくなります。

故人から遺言書の存在を知らされていなくても、遺言書が遺されている可能性があります。

是非確認してみてください。

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