自筆証書遺言の有無の確認方法は?検認の手続きと必要書類は

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皆さんこんにちは!櫻FP事務所です。

ところで

相続の相談です。

叔父が亡くなりました。自筆証書遺言を遺していたようです。
遺言書の有無や、内容を確認する方法を教えてください。

とお困りの方に

相続の手続きでまず始めに相続人が行うことは、遺言書の有無の確認です。
遺言書があれば、故人の遺産は基本的にその内容通りに分けられるからです。

通常、自筆証書遺言は自宅などに保管されています。
相続人が自筆証書遺言を発見した場合は、自筆証書遺言を開封せずに、家庭裁判所に検認手続きを申立てます。
この検認手続きの際に、相続人は遺言書の内容を知ることができます。

検認後、家庭裁判所から検認済み証明書が交付されます。
検認済み証明書が添付された自筆証書遺言で、遺産(預貯金や不動産等)の名義書換えを行うことができます。

この記事では、自筆証書遺言の有無の確認と、検認の手続きや必要書類などについてお伝えします。
是非参考になさって下さい。

(2022年2月17日公開~2022年9月5日編集)

自筆証書遺言の有無の確認方法は?検認の手続きと必要書類は

遺言書の有無の確認とは?

人が亡くなると相続手続きが開始します。
相続の手続きで、まず始めに相続人が行うことは、遺言書の有無の確認です。
遺言書の有無は、相続手続きに大きな影響を与えます。

故人の遺産の分け方には2つのルールがあります。

遺言書がある場合、故人の遺産は※基本的にその内容通りに分けられます。
※遺言書によっても、相続人が最低限度相続できる財産(遺留分)は侵害することはできません。

遺言書がない場合は、故人の遺産は相続人全員が話し合い、全員が納得した上で分ける(遺産分割協議)ことになります。

遺言書の存在が知らされていなかった場合でも、遺言書がのこされている可能性があり、確認しておくことをお勧めします。

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自筆証書遺言

自筆証書遺言は、原則故人が生前に自筆で、全文、日付、氏名を記入し、捺印して作成する遺言書です。

自筆証書遺言の有無の確認

自筆証書遺言の場合は、自宅であればタンスや引き出し、仏壇、金庫、本棚等に保管されている可能性があります。
他にも、故人が生前取引のあった銀行の貸金庫や、信託銀行に保管されていることもあります。

自宅などを探して見つからない場合は、念のため、故人が取引のあった銀行や信託銀行に連絡をとることをお勧めします。

自筆証書遺言を発見した相続人は、遺言書が封印してある場合は開封してはいけません。

もし相続人が自筆証書遺言を開封して、自身に都合が悪いことが書いてあったとしても、遺言書を隠したり捨てたり、又は偽造や変更をしたりすれば、相続人の資格を喪失することになります。

自筆証書遺言の検認手続き

自筆証書遺言を発見した相続人は、遺言書を開封せずに、故人の最後の住所地の家庭裁判所に対して、検認手続きの申し立てを行います。
検認する前に開封してしまうと、5万円以下の罰金が科せられる可能性があるので注意が必要です。

検認手続きに必要な書類は、申立書や戸籍謄本等です。
検認手続きに必要な費用は、遺言書1通につき収入印紙代800円と、裁判所と申立て人との連絡用の郵便切手代です。

検認とは

検認とは、相続人に対して遺言書の存在や内容を知らせるとともに、遺言書の形式や状態、日付や署名などの内容を明確にして、検認日付以降の遺言書の偽造や変造を防止するための手続です。

遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。

検認にかかる期間 は、遺言書の検認を申し立てから検認期日まで、およそ1~2カ月程度です。 
検認そのものに期限はありませんが、相続手続きには相続の放棄(3ヶ月以内)や、相続税の申告や納付(10ヶ月以内)といった期限のある手続きが存在します。

検認中だからといって、こうした他の相続手続きが延長されることはありません。
従って、検認は速やかに行って下さい。

検認済み証明書交付手続

検認が完了すると、申立人は家庭裁判所に検認済証明書の申請を行い、交付を受けます。
交付には、遺言書1通につき150円分の収入印紙と申立人の印鑑が必要です。

自筆証書遺言で相続手続きをする場合、検認済証明書が添付されていることが必要です。
検認済証明書がついた自筆証書遺言で、預貯金や不動産の名義書換え等の相続手続きをすることができます。

自筆証書遺言の有無の確認方法,検認の手続き,必要書類

■遺言書の検認の申立て 書式/記載例

家事審判申立書(PDF:113KB)

当事者目録(PDF:697KB)

記入例(遺言書検認)(PDF:137KB)

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法務局の遺言書保管制度

2020年7月10日から、法務局で自筆証書遺言を保管する制度が始まりました。

法務局が自筆証書遺言を保管することで、遺言書の紛失・亡失のおそれや、続人等の利害関係者による遺言書の破棄,隠匿,改ざん等を防ぐことができます。

法務局の遺言書の有無の確認

相続人は、最寄りの法務局(遺言書保管所)遺言書保管事実証明書の交付の請求(自筆証書遺言の有無の確認)を行います。

遺言書保管事実証明書の交付の請求に必要な書類は、交付請求書、亡くなったことを証明する書類、戸籍謄本等、手続する人の住民票、本人確認書類です。

手数料は、証明書1通につき収入印紙代800円です。

遺言書情報証明書の交付手続

自筆証書遺言が保管されていた場合は、最寄りの法務局(遺言書保管所)で、遺言書情報証明書の交付を受けます。

遺言書情報証明書の交付の請求に必要な書類は、交付請求書、法定相続情報一覧図又は戸籍謄本、相続人全員の住民票、手続する人の本人確認書類です。

手数料は、証明書1通につき1,400円です。

「遺言書情報証明書」は正式な遺言書として、預貯金や不動産の名義変更などの相続手続きを行うことができます。

「遺言書情報証明書」は、検認手続きは不要です。

法務局の遺言書保管制度,手続き,必要書類
参照URL:自筆証書遺言書保管制度 (moj.go.jp)

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まとめ

●遺言書の有無の確認

 相続の手続きでまず始めに相続人が行うことは、遺言書の有無の確認です。

 遺言書があれば、故人の遺産は基本的にその内容通りに分けられるからです。

●自筆証書遺言

・自筆証書遺言は、原則故人が生前に自筆で、全文、日付、氏名を記入し、捺印して作成する遺言書です。

・自筆証書遺言の場合は、自宅であればタンスや引き出し、仏壇、金庫、本棚、銀行や信用金庫等に保管されている可能性があります。

・自筆証書遺言を発見した相続人は、遺言書を開封せずに、故人の最後の住所地の家庭裁判所に対して、検認手続きの申し立てを行います。

・検認手続きに必要な書類は、申立書や戸籍謄本等です。

 手数料は、遺言書1通につき収入印紙代800円と、裁判所と申立て人との連絡用の郵便切手代です。

・検認が完了すると、申立人は家庭裁判所に検認済証明書の申請を行い、交付を受けます。
 交付には、遺言書1通につき150円分の収入印紙と申立人の印鑑が必要です。

・検認済証明書がついた自筆証書遺言で、預貯金や不動産の名義書換え等の相続手続きをすることができます。

●法務局の遺言書保管制度(法務局で自筆証書遺言を保管する制度)

 相続人は、最寄りの法務局(遺言書保管所)で、遺言書保管事実証明書の交付の請求(自筆証書遺言の有無の確認)を行います。

 自筆証書遺言が保管されていた場合は、最寄りの法務局(遺言書保管所)で、遺言書情報証明書の交付を受けます。

「遺言書情報証明書」は正式な遺言書として、預貯金や不動産の名義変更などの相続手続きを行うことができます。

「遺言書情報証明書」は、検認手続きは不要です。

○自筆証書遺言は、自書して押印すれば作成できるという非常に手軽な方式の遺言書で、大変広く用いられています。

 自筆証書遺言の有無を確認する、故人が法務局の遺言書保管制度を利用していた場合などは是非この記事を参考にしてください。

※検認などに必要な戸籍謄本は、相続関係が複雑な場合は戸籍の取得までに時間がかかることがあります。時間や手間を掛けたくない場合は、行政書士や司法書士などの専門家に依頼することもご検討ください。

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